2012/12/20

gara-bou factry






先日ついに、su:noで使用しているガラ紡糸を作っている
愛知県一宮市にある木玉毛織さんの元へ行って来ました。
そこでガラ紡の工場も特別に見せて頂く事が出来ました。

ガラ紡機は明治6年に、臥雲辰致という元お坊さんが発明した紡績機です。

繊維品が貴重だった時代に、反毛という、織物や糸のくずを再利用できないかと考え、
作られたのがこの機械です。材料を余す所無く大事にする、
昔の人の知恵が詰まった、まさにエコな機械。
余り物の糸という事で、当時はガラ紡=安物というイメージだったそうです。

ちなみに明治6年ってどんな時代かと調べてみたら、
太陰暦から太陽暦に変わった年で、まだ明治維新中の時期。
教科書で有名な西郷隆盛や、板垣退助等が活躍していた時代という事が分かり、
そんな時代の物が今も動いているなんて、ただただ驚き!

一時は大変普及したガラ紡機ですが、
生産スピードが遅い事から、現代の量産型の機械に押され、
徐々に衰退し、現在稼働しているのは、2,3件とのこと。
ちなみに1日にできる糸はたった10kg程度だそうです。
これはsu:noの大判ストールに換算すると、25枚分程しかありません。

でもこのゆっくりのスピードで紡ぐからこそ、
唯一無二の手紡ぎのような素朴な糸が出来上がって行くのです。
本当に素晴らしい技術なので、このまま無くなってしまう事がないように、
自分も貢献して行きたいと、改めて思いました。

木玉さんの糸の原料は、写真のようなオーガニックコットンの落ち綿です。
落ち綿とは、現代の紡績機では繊維が短く、糸にならなかった綿で、
通常は処分されてしまうもの。それを、ガラ紡機によって、再び糸にしていきます。
同じ綿でも、種類が違うだけで全く別の風合いになってしまいます。
あの独特の柔らかいガラ紡は、木玉さんが、色んな原料で研究を重ねた結果
生み出された風合いなのです。

動力は全て歯車で、まるでジブリの映画に出て来そうな機械でした。
昔は水車の力で動かしていたそうです。
博物館級のとっても古い機械が、今も現役で動いている姿はまさに圧巻です。
太さや撚り回数等の微調整も全てアナログで、何一つ数値化されていないので、
感覚だけが頼りだそうです。

新たな企画の打ち合わせも兼ねた出張で、木玉さんをはじめ
機屋さんや、縫製工場さんとも初めてお会いしたのですが、
皆さん私みたいな一作家にも、本当に親切で、とても協力的に接して下さり、
良い出会いばかりで、本当に感謝です。
色んな方に協力して頂けるので、これからますます頑張らなくてはなりません!

ちなみに、帰りに一宮駅前で、なんとすぎちゃんを見ました!
今年の流行語大賞のすぎちゃん。。この年末に出会うことが出来るなんて、
なんかご利益がありそうです。笑