2013/10/28

Making of Gara-bou fabric






最近は納品が追いつかずてんやわんやの毎日でしたが、少しずつお客様への納品も終わって来て、お店等でも目にして頂く機会が増え、嬉しい限りです。(まだ一部は生産中です。お待たせしている皆様申し訳ございません。。もうしばらくお待ち下さいませ。。)そこで、改めてSuno & Morrisonのガラ紡の生地ができるまでについて少し書いてみようと思います。
今までブログやホームページで紹介した事と重複するかもしれませんが、お付き合い頂ければ幸いです。

ガラ紡とは、ガラ紡機と呼ばれる紡績機で紡いだ糸の呼称です。ガラ紡機は明治時代に臥雲辰致という元お坊さんによって発明された機械。繊維品が貴重だった時代に、繊維のくずを再び糸として再生させるために作られた紡績機です。一つ一つの材料を昔の人が如何に大事にしていたのか、その想いが伝わってくるような博物館級のとても古い機械です。
ガラ紡機は当時は水車で動いていました。現在は電力で動きますが、仕組み自体は当時のまま。何一つデジタル化されていません。例えば、糸の太さの調節は、一番下の写真でぶら下がっている、重りの場所を前後させて行います。
なので、機械を動かす人の感覚、チョットしたさじ加減で太さに変化があります。また、原料はオーガニックコットンの落ち綿(通常の紡績で糸になりきれなかった繊維)を使用していますが、落ち綿の為、同じオーガニックコットンでもメキシコ綿だったりインド綿だったりと色んな産地のオーガニックコットンが混ざっています。そのため、混率によってはその時々で糸の太さ等に若干の違いがあったりします。そんな背景があり、ガラ紡は手紡ぎのような素朴な糸に仕上がって行きます。

ガラ紡はその素朴さ、不均一さが魅力なのですが、これが生地を生産する上では非常にネックになってきます。言わば、工場さん泣かせの糸。まず、生地を作る前に糸がどれくらい必要なのかを計算しなくてはいけないのですが、ガラ紡はムラがあるため、同じkgでも糸の長さがバラバラなのです。なので、最終的に何枚出来上がるのかという厳密な計算ができません。そのため、必要数よりも多めに見積もって、糸を発注し、糸染めに回します。多めに発注したとは言え、ちゃんと必要枚数織れるかどうか、毎回ドキドキのスリルを味わいます。。
染め上がった後は、通常の糸であればそのまま整経し、織り機へセッティングとなるのですが、そこはガラ紡。一筋縄ではいきません。ガラ紡はムラの大きい部分が織っている時に引っかかってしまうため、非常に切れやすい糸です。そのため、スイビという細い糸を縦糸のガラ紡に巻いて、丈夫にしてから織り機へかけます。しかし、毎回糸の太さが違うため、ある太さ以上になってしまうと、同じスイビ巻き工場では巻けないという問題が起こり、その場合は他の工場に出したりします。また、織る際の糸の密度もその時々で微妙に変え、糸の太さによって厚くなりすぎたり、薄くなりすぎたりしないようにしています。
織るのは勿論、古いシャトル織機。現代のハイスピードの織り機では糸が切れてしまう為です。時間は通常の織りの何十倍もかかりますが、ゆっくりな分、糸の風合いを保ちながら味わいのある生地を織ってくれます。
そのように試行錯誤してようやく織り上がった生地は、洗いにかけ、スイビをお湯で落として(スイビはお湯で溶ける糸なのです。)ようやく一段落。
ストールの場合はそこから、フリンジ結びにかかります。フリンジを結ぶのも今であれば機械で出来るのですが、ガラ紡の場合は、そのムラゆえに手で結ぶしかありません。一つ一つ内職のおばあさん達が結んでくれています。
そうしてようやく私達の元へ納品されてきます。
しかし、納品されてきてもすぐにお客様の元へとはなりません。。。織り上がったばかりの生地は、織る際の摩擦で出てしまう繊維が多く付着しています。そのままだと巻いた時に服に沢山の繊維が付いてしまうので、一枚一枚丁寧にバキュームをして、付着している繊維を出来るだけ取り除いてからようやくお客様へ出荷します。

以上、書く事が多すぎて端折ってしまった部分もありますが、Suno & Morrisonのガラ紡生地ができるまででした。
このように改めて一工程ずつ振り返ると、工場生産ではありますが、むしろものすごく早い手織りのような。。。そんな感覚の方が近いのかなという気がしてきました。。。改めてこんなに手間のかかる事に協力して下さる工場さんに、本当に感謝です。